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2期生 Aさん

 坂上ゼミ2期生のAさんにお話を伺いました。2021年7月17日に、zoomを使用して、オンライン上でインタビューを行いました。お忙しい中、ご協力いただきありがとうございました。

大学時代について

 

◆大学時代に一番熱中したことについて教えてください。

 早稲田大学戸山キャンパス(通称文キャン)の建て替えにあたって、建物の記録を発信するウェブサイトをつくったことです。この場所で連綿と受け継がれてきた歴史やかつてのキャンパスの様子などを記録して、いろいろな形で皆さんに知ってもらおうと思い、10人の有志と一緒につくりました。後に卒論のもとになった活動でもあります。

 

◆坂上ゼミを選んだ理由を教えてください。

 当時文キャンの見学会を主催されていた丹尾先生の授業で、建物自体に価値があり、そこに様々な想いが込められていることを知りました。その影響もあり、卒論で建物について扱えるゼミはどこだろうという観点から、坂上ゼミを選びました。美術史から入って建築史に繋げるのが一番わかりやすいかなと。自分が学びたいテーマから選んだと思います。

仕事について

 

◆具体的な仕事の内容を教えてください。

 現在は出版社のグッズを作る部署に所属しています。グッズの製造、品質管理、発注などに携わっていて、いわゆる事務方の業務を担っています。この部署に異動する前は出版物の品質管理や商品設計を担う部署に所属していました。

 

◆やりがいを感じることや楽しいことは何ですか。

 やりがいとしては、やはり次々と面白い作品が世に出ていく様子を内側から見られることですかね。不思議なくらいラッキーだなと思います。作品を生み出すという意味では、制作現場は編集部にあると思いますが、それを取り巻いている様々な仕事に携われるのは一番のやりがいだと思っています。

 

◆大変なことはなんですか。

 エンタメを扱う会社なので、システム的な面ではやはり他の企業、例えばメーカー、商社、銀行などの大企業と比べるとシステマチックでない部分があるのではないかと想像します。現場担当者の裁量に任せられている部分が多いというか。しかしその一方で、面白い作品を生み出す上では意思決定プロセスのスピード感も重要です。そういう面ではトレードオフかなとも思っています。

 

◆学生から社会人になって変わったと感じることは何ですか。

 学生時代は何かに取り組む際に自分一人で回そうとすることが多かったのですが、会社に入ってからはチームで動く意識が身につきました。組織の一部として働く分業意識は、会社に入ってから強くなった気がします。

 

◆ゼミで学んだことで社会人になって活きていることは何ですか。

 美術史を学んでいると、いろいろな軸で、価値や美しさを説明する言葉をたくさん勉強しますよね。自分の価値観を言葉で説明するトレーニングです。「なんとなく良い」ではなく、ロジカルではない感性の部分をきちんと言葉に落とし込んで説明する。この能力は美術史専攻の強みではないかと思っています。

 さらに個人的に言えば、役に立つか立たないかを第一に考えなくてもいい分野があるということを学べるのが文化構想学部の良さだと思っています。単純に収益を上げることとは違う軸が社会にはたくさんあって、それを考えながら社会に役立つ道も探っていく。そもそも役に立つってなんだ?という問いから考えられるのも文化構想学部ならではですよね。

 

◆情報感度を高めるためにしていることはありますか

 速報性に関してはネットが優れていると思うので特にTwitterをよく利用しています。情報源をたくさん持つために、専門家だけでなく専門家が情報ソースにしている方の発信もフォローしています。他にも、日々更新されるウェブサイトを斜め読みして目を通すことは長年続けています。その一方で、受け取った情報から多くのことを引き出す力も大切です。これは読書で鍛えられる能力だと思います。分野ごとに自分の興味関心レベルに合った本を手に取ることを意識しています。

在学生に向けてメッセージ

 

◆社会人になる前に読んでおくと良い本はありますか。

 学生時代に好きだった本は『アルベール・カーン コレクション』という写真集です。ここには20世紀初頭の世界の民族衣装や風景が収められています。当時はまだ残っていた各地域の土着性が色濃く反映されていて感銘を受けました。ヴィジュアルを通して感じ取れる、なんの説明もなしに理解できるというのが素晴らしいと思います。この本はまだ図書館にあるんじゃないかな。大学生のうちは図書館に通って、ある分野の棚の本を上から下まで見て気になるものは読んでいく、みたいなことを2〜3ヶ月でも続ければ、かなり専門的な知識が得られるのではないでしょうか。

 

◆学生時代にしておいた方がいいことがあれば教えてください。

 大学時代には、いろいろな場所を訪れ、多くの人に会いに行き、見聞を広めるといいと思います。例えば、小さくてもいいから何か自分で作ったものがあると、それを理由に人に会いに行ける。私もウェブサイト運営の活動を通して、いろいろな方に会いに行きました。作品じゃなくてもいいので、何か発表をしてレビューをもらったり、取材という口実でアポを取ってみたり。このような方法を通して大学時代に得られる機会はきっと豊富にあると思いますよ。

インタビュー後の感想

 

●終始とても丁寧に対応してくださり、和やかな雰囲気でインタビューすることができました。職業柄、本の話になることが多く、読書が趣味の私としては参考になる事柄ばかりでした。とても有意義な時間でした。ありがとうございました。(田口)

 

●熱意を持って丁寧にお話ししてくださり、新たな視点に学ぶことが多くありました。特に、たくさん行動を起こされて得た見聞や考えにはとても説得力があり、私も挑戦してみようと背中を押されました。ありがとうございました。(伊藤)

 

●突然の連絡にも関わらず、ゼミ生の力になれたら、と快くインタビューを受けてくださいました。話は勿論、人柄を通しても大変勉強になることばかりで、私にとって行動を起こす際の励みにもなっています。ありがとうございました。(宮内)

 

聞き手:田口、伊藤、宮内

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