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3期生 猪狩茉利衣さん

坂上ゼミ3期生の猪狩茉利衣さんに、「株式会社ニトリ 商品部コーディネート商品企画デコレーターチーム」での体験をもとにお話を伺いました。現在は休職して海外留学をされています。2020年7月1日に、メールでインタビューを行いました。ご協力ありがとうございました!

大学時代について

◆大学時代について教えてください

一応バスケサークルに所属していたものの、あまり頻繁には参加しておらず、アルバイトに情熱を捧げているタイプの学生でした。1、2年生のときはアルバイトを2つ掛け持ちして貯金をし、3年生の春からインテリアコーディネーターの資格取得のため夜間の専門学校に入学しました。働きながら資格の勉強するのはやはり時間的に難しい場合もあるので、時間のある学生のうちに取り組んでおいてよかったと思っています。

いろいろアルバイトはしましたが、塾のチューターとカフェでの経験によって、同僚と一緒に業務が円滑に進むようにする重要性や、周りの人に協力してもらって自分のアイディアを実現する行動力を身につけられたので、特に自分の成長につながったと思っています。

◆坂上ゼミを選んだ理由を教えてください

坂上ゼミを選んだ理由は、単純にアートやデザインが好きで、それを研究テーマにしたいと考えたからです。まだ人数が少なく、圧倒的に女子が多いゼミでした。坂上ゼミはすごくアットホームな雰囲気で毎週楽しかったです。

卒論はシャルロット・ペリアンというフランスのインテリアデザイナーの家具デザインに日本の文化がどのように影響を与えたか、というテーマで書きました。私が在籍していた当時のゼミ生は自分の専門の、それぞれ大好きな分野があって(ファッション、西洋美術、舞台美術、建築など)、みんなすごく情熱的に自分の分野をプレゼンしていたのが印象的でしたし、自分の興味がなかった分野の話を聞いて刺激を受けたのをよく覚えています。一緒に美術館に行って、感想を言い合ったのも良い思い出です。みんなすごく真面目なメンバーで尊敬していました。

◆就職先(進路)を決めた理由(就職活動で注意したこと、意識したこと)はありますか。

今思えば自分の可能性を狭めていたなと反省するのですが、就活当時の私は海外就職やフリーランスでのキャリアを全く思い描けていなかったので、国内企業しか探していませんでした。企業説明会は業界問わずたくさん参加しましたが、結局はインテリア業界・住宅メーカーに絞ってエントリーしました。エントリー数も比較的少ない方だと思います。ESを出したのは10~15社くらいで、面接は5社くらいだったと思います。

企業説明会では「表向きのいいこと」しか言わないし、良い印象に流されそうになりますが、冷静に客観的に会社を評価することが大切なんじゃないかなと思います。エクセルのシートを使って、自分にとって重要な項目を書き出し、それぞれの項目に5段階評価で点数をつけて、総合点を出して企業選びをしていました。

仕事について

◆具体的な仕事の内容について教えてください

休職前に所属していたチームでは、都内の渋谷や新宿のニトリ店舗内専用のショーウィンドウのコーディネートの起案と、店舗メンバーへのコーディネートと作業手順の教育がメインの業務でした。郊外にある大型のニトリのショーウィンドウは基本全国共通なのですが、共通化出来ない首都圏の一部の店舗の特設スペース演出を個別に起案するのが担当でした。この部署に着任する前の4年半はずっと店舗勤務で、最後はフロアマネジャー(店長と副店長の下の職位)として、店舗のマネジメントを行っていました。

◆やりがいはなんですか

自分が作成したコーディネートが実際に展示された時は、やはり嬉しくなります。店舗メンバーに教育を行って、店舗作業の効率が上がることにもやりがいを感じます。

◆楽しいことはありますか

コーディネートを考えるのはクリエイティブな作業なので単純に楽しいです。発売前の商品を扱うことも多いのですが、商品開発担当の方にどんなところがおすすめポイントなのかを伺うと、消費者のことをよく考えて開発していることが分かり、とても参考になります。

◆大変なことはありますか

私の実務の面で言うと、なるべく予算をかけずに活動することも重要なので、実現したいこととのバランスを取るのが難しいです。店舗で働いていた時代は大変なクレーム処理をたくさん経験しました。具体的な内容を紹介すると学生のみなさんを怖がらせてしまいそうなので割愛します…

自分がコントロール出来ないこととどう妥協点を見つけるかというのは、どの業界でもどの部署でも大切だと思います。どんな仕事にも自分のやりたくないことは存在するので、私も「自分で自分の機嫌を取れる大人」になるべく、精進していきたいです。

 

◆仕事に際して気を付けていることはありますか

「期待を超える」というのを新入社員の頃から働く上でのテーマにしています。お客さんと接してしていても、上司からの作業命令でも、求められている結果やクオリティのレベルを予想して、それを少しでいいから超えていくと、喜んでもらえることが多いです。

大手はどこも同じなのではないかと思いますが、行きたい部署ややりたいことがあっても若いうちに希望通り配属されることは圧倒的に少ないのが現実です。大手企業で自分の思うキャリアを進みたいなら、生々しく聞こえるかもしれませんが、やはりいい評価を貰って、いい意味で目立つことは大事だと思います。

 

◆学生から社会人になって一番変わったと感じたことを教えてください

大学時代は自分が好きな人だけを選んで関わっていればよかったですが、社会人になると同僚やお客さんなど関わる人は本当に多岐に渡ります。自分の意見はしっかり表明しつつ、全く違う考えを持っている人を理解して、協働していく柔軟性は身についたと思います。仕事である以上、常にニコニコ優しい人でいるわけにもいかず、ときには厳しいことを言わなければいけない場面もありますが、それでも理論的に説明して納得してもらう技術と人間関係を良好に保つ努力は大切なポイントだと思います。

◆ゼミで学んだことで社会人になって活かされたことはありますか

弊社の大衆に向けたデザインと、ゼミで学んだインテリアデザインは実際のところ全くの別物ですが、本物の良さをちゃんと知っておくことは重要だなと思います。

それから、企業で働いていて、という話ではないですが、美術史やデザインを勉強して「美しいものをみたときに、美しいと思える感受性」を大学で勉強できたことは大きな財産だと思っています。アートを見ても「何がいいのかわからない、興味がない」という人とも多く出会いますが、アートの良さを知っていた方が圧倒的に豊かな人生を送れると個人的に信じております。

 

◆将来の夢、今後のヴィジョンを教えてください

学生時代に留学しなかったことを後悔していたのと、社会人を6年ほどやってこのまま働いていても自分の進化が止まってしまうような気がしたので、留学することを決意しました。3年くらい貯金と語学学習にはげみ、会社にわがままを言って1年強休職させてもらって、いまはニューヨークのFashion Institute of Technologyという大学でビジネスとブランディングを勉強しています。今まで勉強してこなかった分野を(しかも英語で)学ぶのはもちろんチャレンジングで苦労していますが、楽しいです。小売の分野では日本の何歩も先をゆくアメリカでビジネスの知識を身に付けるだけでなく、留学を通していろんな人と出会って、人間としての幅を広げ今後の人生の選択肢が増えればいいなあと思っています。今の予定では来年の3月頃に帰国する予定ですが、復職後は会社が海外展開する際のブランディングやインテリアコーディネートを通してイメージ戦略策定に関わるような部署に配属を希望しています。

いまは転職については具体的には考えていませんが、50歳くらいでリタイアし、全く関係ない分野に方向転換するものありかな、と漠然と考えています。

在学生へ向けてメッセージ

◆在学生に向けたメッセージ、また学生時代にしておいた方が良いことがあれば教えてください

社会人になっても本当にやりたいことがあるなら、いつでも始めればいいと思うので、学生時代にこれをやっておけ、ということは特にありません!

 

◆就活について

大学生にとってはビックイベントに感じてしまうと思いますが、肩肘はらずに、説明会でいろんな企業の考え方を聞けるのを楽しむくらいの気持ちでいいと思います。

◆おすすめの本

  • ちきりん『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』(文春文庫、2013年)

就活時代に読んでいたら考え方が変わっていたかもしれない、という本です。タイトルには『未来の働き方』と入っていますが、社会人として働いていて、もうこの価値観は現在進行形のものだな、と感じます。

[聞き手:旭野、伊藤、帆足 文責:神]

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